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5-3 椎間板ヘルニアの予防法

適度な運動運動療法 理学療法

椎間板ヘルニアの予防として、背骨の負担を軽減する目的として肥満防止が挙げられます。 それではダイエットすれば良いのか!?という発想になりますが、ただ単に痩せれば良いと言うことではありません。 体重の軽いひょろひょろの犬と体重は重いが筋肉質の犬とでは、明らかに後者の犬の方が椎間板ヘルニアになりにくいです。 なぜなら体重を支えているのは、背骨自体ではなく、背骨を取り巻く様々な筋肉や靱帯だからです。

毎日、戸外で駆けたり散歩することで、背骨を初めとする様々な骨格を支える筋肉(骨格筋)を鍛えることが重要です。 適度な運動をすることで、筋肉が鍛えられ、結果として、無駄な脂肪が削ぎ落とされ、体重が減るわけです。 十分なカルシウムを与え、疲労骨折しない丈夫な骨と体を支えるしなやかで頑丈な筋肉があれば、それだけ背骨の関節部にある椎間板にかかる負担が軽減します。

昨日散歩させなかったから、今日は昨日の分も含めて倍に増やすというようなことも良くありません。 無理のない運動を小まめにさせることが重要です。 そういう観点からすると、1日1回の散歩よりも、2回に分けて行う方が理想的ですが・・・毎日1回の散歩をサボることなくやるだけでも十分でしょう。

骨の成長には、栄養だけでなく、骨に負荷(重力)をかけることが欠かせません。 宇宙飛行士が重力のない大気圏外に1ヶ月以上滞在すると、骨密度が段々低下して骨粗鬆症状態になることが知られていることからも理解できるかと思います。 骨に体重(負荷)をかけると、骨は折れまいとして、骨芽細胞が働いて、体内のカルシウムを呼び集めて、頑丈になろうとします。 もっと言うなら、単に骨に体重をかけるだけではなく、関節を動かすことによって、関節部の軟骨と軟骨が適度にこすれ合うことによって、骨芽細胞が活発に働いてくれます。

関節を動かすとは、関節を取り巻く筋肉や靱帯が動くということを意味します。 筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、血管がポンピングし血行が促進されます。 血液の流れが活発になると、それだけ血液に含まれる酸素や栄養を全身に送ることができ、また全身の細胞にできた老廃物を取り除くことになり、新陳代謝が活発になります。

椎間板ヘルニアは再発率が高い ~その理由~

椎間板ヘルニアの原因である骨の変性や老化は、一様に進むため、どこか1箇所が椎間板ヘルニアになれば、その他の箇所でも発生する可能性が高いと言えます。 もちろん、完璧な手術により完治しない限り、同じ箇所が再発する可能性も高いことは言うまでもありません。

ヘルニアが発症した場合、病み上がりの犬にいきなり運動させるのは良くありません。 最初の1週間は近所を10分程度、犬の歩様に異常がないか注意を払いながら散歩させます。 2週目は散歩時間を5分延長・・・の要領で、3ヶ月位の時間をかけて、慎重にかつ徐々に運動量を増やしていきます。

どんなに元気に見えても1度ヘルニアを経験した犬は、忘れた頃に、再発する可能性が高いので、元気な犬ほど、セーブしてあげましょう。 過度な運動は引き金(きっかけ)に過ぎず、軟骨(椎間板)形成異常と言う爆弾(因子)を抱えていることには変わりないのですから。

適切な散歩道としては、足場の悪い小さな砂利がある所や凸凹の場所は、足の関節に負担をかけるため避けてください。 そういう観点からきれいに舗装されたアスファルトが無難でしょう。 更に、理想を望むなら、粘土質の土やしっかり刈られた芝生の上は、クッション性が高く関節に負担のかからない最高の路面となります。

しっかりとした足取りで歩けない場合は、犬用車椅子に乗せて歩かせたり、胸元くらいの深さの湯船で歩行させたり、水泳させるのが良いでしょう。

椎間板ヘルニアの代表的な好発犬種 ~ミニチュアダックスフント~

ダックスは元々猟犬として改良されてきたとても活発で運動神経の優れた犬種ですが、「ミニチュアダックスフント=椎間板ヘルニア」と言われるほど、ミニダックスは最も椎間板ヘルニアを発症しやすい犬種でもあります。

ミニダックスに限って言えば、活発であること、運動能力が高いこと、と背骨が丈夫であることとは、別問題です。 なぜなら、ダックスは軟骨形成異常と言う遺伝的因子を持っているからです。

普段、外で駆け回ることがなく、ほとんど家に居ることが多い明らかに運動不足や肥満であろうダックスにソファの上り下りや高所からジャンプさせると、それに耐えうる十分な筋肉が付いてないために、背骨(脊柱)を傷めるリスクが高くなります。

栄養豊かな食餌

骨の大部分は、リン酸カルシウムからできているので、丈夫な骨を作るにはカルシウムが不可欠です。 また、カルシウムは、心臓や手足などあらゆる筋肉の動き(弛緩と収縮)に不可欠な重要なミネラルでもあります。

カルシウムの摂取が不足すると、血中のカルシウム濃度が低下するため、これを補おうと、カルシウムの貯蔵庫である骨や歯から血液中へカルシウムが溶け出します。 この際に、筋肉細胞中のカルシウムイオン濃度のバランスが崩れ、筋肉の異常収縮や異常緊張が起こります。 慢性的な筋肉の異常緊張は、骨格筋周辺の末梢神経を圧迫して、肩凝りや腰痛などを生じさせます。

また、溶け出した一部のカルシウム(悪玉カルシウム)は、あらゆる臓器の細胞膜や血管壁に、まるで悪玉コレステロールのように付着して、動脈硬化や各臓器の病気(糖尿病・腎臓病・肝臓病・尿路結石など)をもたらす一因となります。 そればかりか、骨からカルシウムが溶け出すことによって、スカスカになった骨(背骨)は骨折しやすくなります。

通常の手作り食は、圧倒的にカルシウムが不足するので、卵殻カルシウムやサプリメントなどで補ってあげましょう。 ただし、3大栄養素(炭水化物・脂肪・タンパク質)とビタミン・ミネラルがバランス良く配合された「総合栄養食品のドッグフード」に、その他の食品(ビタミン・ミネラルも含む)を加えることは栄養バランスを崩すため良くないとされています。

ビタミン・ミネラルの補給

大雑把に言うと、ビタミンやミネラルは、食餌から摂った3大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)の代謝を助け、生命活動に欠かせない重要な働きをする補助的栄養素です。 通常の手作り食では、全てのビタミンやミネラルを不足なく摂取するのは難しいとされています。 DHCなどのマルチビタミンやマルチミネラルは、これらの栄養素を数粒で補給することができる大変便利なサプリメントです。

ビタミンやミネラルは、相互に影響しながら作用するので、単品ではなく総合的に摂る方がその効果が高く発揮されます。 また、食後の胃腸が活発に動いている時に摂取する方が消化と吸収が良くなります。 これらのサプリメントは、あくまでも補助的な栄養素なので、大量に摂ったからと言って、一定以上の健康増進には繋がりません。 また、一部の脂溶性ビタミンやミネラルは過剰摂取すると生体に障害が起こるとされていますが、常識を超える量(摂取基準量の10倍以上)でない限り、そのようなことは起きないので神経質になることは無いでしょう。 ちなみに、水溶性ビタミンは常時尿とともに排泄されています。

椎間板ヘルニアで神経障害(脊髄障害)を起こした場合、ビタミンB12製剤や葉酸製剤を処方する病院もあります。 ビタミンB群、特にビタミンB12(メチコバール)は、ビタミンの中で唯一神経障害を修復するビタミンとされています。 ビタミンゆえに即効性はないと思いますが、療養食または予防食として、日頃から摂取すべきビタミンと言えます。

これに加え、ビタミンEやビタミンCは、血行促進作用や抗酸化作用があり、また活性酸素やストレスを除去したりする効果もあります。 神経痛の原因の1つに、血行不良による冷えや栄養分の不足があるので、血行を良くすることで神経痛の痛みが改善されます。

関節サプリメントの効果 ~椎間板ヘルニアに効く~

関節の構成成分であるコンドロイチン・グルコサミン・ヒアルロン酸などのサプリメントを摂取したからと言って、都合良く、望む場所(背骨)に必要量の成分が運ばれて薬剤的効果を発揮し、椎間板ヘルニアや関節疾患を予防できたり改善することは夢物語です。 これらの物質(化合物)は体内に摂取されると、消化器官によって分解され全く別の物質に分解されます。 それがコンドロイチン・グルコサミン・ヒアルロン酸の形に再合成されて、必要とする組織に届く可能性はほぼゼロです。

コンドロイチン・グルコサミン・ヒアルロン酸は、普段食べている食餌(糖質・脂質・タンパク質)から体内で自然に作られる様々な成分の1つに過ぎません。 そんな高価なサプリメントを買うよりも、栄養豊かな食餌と適度な運動によって健康で丈夫な体作りを心掛けた方が賢明です。

生活行動・生活環境の見直し

椎間板ヘルニアの最高好発犬種であるミニチュア・ダックスフントは、元来猟犬として改良されてきたとても活発で運動神経の優れた犬種です。 毎日戸外で運動をさせて本来の筋力を維持しているMダックスなら問題ないでしょうが、家に居ることが多く大して筋力が発達していないMダックスが以下の行動を取ることは、椎間板ヘルニアを起こす可能性が高くなります。 また、1度でも椎間板ヘルニアを起こした犬ならば、絶対してはならない禁止行為となります。

  1. 高所(ソファ・ベッド・階段・車)からの飛び降りは禁止。

    居間にソファがあり、その上をジャンプして上がったり、飛び降りたりする習慣があると、なかなか止めさせるのは難しいかと思います。 一番良いのがソファを取っ払うか、ローソファに取り替えることです。 ソファにスロープを取り付けても、上がる時はスロープを利用してくれても、いざ降りる時は一気にジャンプ!なんてことが多いのではないでしょうか。

  2. ボールやフリスビーなどのジャンピングキャッチは禁止。

    椎間板に大きな負担を与える行動は、高所からの着地や背骨をねじるような動作です。 具体的には、空中に投げたボールを体をくならせながらジャンプしてキャッチして着地することや、模擬狩猟のつもりなのか、ダッシュして走り去り、急に体をねじりながらUターン(旋回)して走って戻って来る動作などです。

  3. 滑りやすいフローリングでの駆け走りは禁止。

  4. 足裏の毛や爪を定期的にカットして、室内で滑らないようにする。

  5. 足を捻りやすい砂利道の散歩は避ける。

  6. ペンギン座りなど後足での立位は禁止。

  7. 首輪につないだリードを飼い主が勢い良く引っ張る、または犬がぐいぐい引っ張って先へ進むことは禁止(頚椎への負担)。 首輪をハーネスタイプに替えると良いでしょう。

    頚椎椎間板ヘルニアを経験した犬には、下を向かなくても食べられるように、食器を高い台に置き、首への負担を軽減しましょう。

  8. 犬を抱きかかえる時は、両前足の間に手の平を広げて入れ、もう片方の手を同様にして両後足の間に入れて、背骨に負担がかからないように胴体を水平に保ったまま持ち上げ、犬の体を胸に付けて安定させます。 犬を下ろす時も同様にして、犬の四肢が地面に着くまで手を離さないようにして下さい。

低温は関節病の大敵

家でじっとしているような関節疾患持ちの犬は、秋冬期の室温が15℃以下になると、血行不良により、靭帯や筋肉が拘縮して、関節痛を生じさせることがあります。 入浴して血行を良くしたり、室内でも服を着せたり、ケージに掛け布団とクッションベッドが一体になったようなものを用意し、犬が潜れるようにしましょう。 健康な犬は室温5℃でも寒がることはありません。 ブルブル震える場合は、関節痛のためと考えられます。

また、寒いからと言って、外で散歩させないのも良くありません。 運動により、筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、血管がポンピングし血行が促進され、体温が上がります。