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6-2 変性性脊髄症(DM:Degenerative Myelopathy)

椎間板脊髄を圧迫・損傷することで、痛み・麻痺が起こる椎間板ヘルニアとは異なり、変性性脊髄症は脊髄自身が変性することで、中枢神経としての機能を失っていく進行性の脊髄疾患のため、痛みを伴わないのが特徴です。

  • 症 状犬の変性性脊髄症の症状

    変性性脊髄症は、高齢期(10才前後)に発症することが多く、およそ3年かけて、ゆっくりと以下の経過をたどって進行していきます。

    その多くは、胸腰部の境目辺りの脊髄で発症(神経細胞が変性)するため、機能障害(運動失調・麻痺)がまず後肢に現われ、呼吸機能を司る延髄へと上行していきます。

  1. ナックリング歩行 後足の足先が肉球の方へ曲がって、まるで拳を握るような状態(ナックリング)で歩くため、足の甲や爪が地面に擦れ、擦過傷を負うようになります。 そのため、歩行時には、犬用の靴を履かせて防止します。 この頃から、犬用の車椅子や歩行器を使って、歩行を介助することによって、筋肉が弱らないように、なるべく歩かせるようにします。 これが唯一の変性性脊髄症の対処療法になります。

  2. 千鳥足歩行 まるで酔っ払っているかのように、左右の後足がもつれるようにフラフラしながら歩きます。

  3. ウサギ跳び歩行 後足を左右交互に動かすことができなくなり、両後足を揃えてウサギ跳びのように歩きます。

  4. 下半身を引きずって歩く 次第に、脊髄性運動失調に加えて、筋力も低下するため、後足で踏ん張ることができなくなり、腰が抜けた状態で、下半身を引きずって歩くようになります。

  5. 伏せ寝生活(起立困難) 病変が頸胸部の境目まで上行すると、後足に起きてた症状が、前足にも起こります。 前足で体重を支えられなくなると、伏せの状態で過ごすようになります。 更に、伏せの状態もできなくなると、横寝の状態で生活しますが、首はしっかり動かせ、自力で食事もできます。 この頃から自力排尿できなくなるので、オムツの生活になります。 また、手足が自由にならないストレスで気が荒くなることもあります。

  6. 呼吸障害 病変が頸部から延髄周辺まで及ぶと、首も動かすことができず、自力で食事することもできなくなり、息遣いが苦しそうになったり、ヨダレを垂らしたりし、完全に延髄まで病変が到達すると、呼吸不全で息絶えます

  • 好発犬種犬の進行性脊髄軟化症の好発犬種

    ハンセン1型椎間板ヘルニアの好発犬種でもあるウェルシュ・コーギー・ペンブロークが変性性脊髄症を発症することが最も多いです。

    その他に、トイ・プードル、ジャーマン・シェパード、ボクサー、ラブラドール・レトリーバー、アイリッシュ・セッター、シベリアン・ハスキーなど。

  • 原 因犬の進行性脊髄軟化症の原因

    詳細な原因の解明はまだされていませんが、酸素呼吸する生物の細胞内で発生する有害な活性酸素(スーパーオキシド)を解毒する酵素であるスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1:Superoxide dismutase 1)をコントロールするSOD1遺伝子の異変によるものではないかと注目されています。

    SOD1遺伝子の変異は、天才理論物理学者のホーキング博士が罹患している筋萎縮性側索硬化症(ALS:ルー・ゲーリッグ病)を引き起こすことが知られています。

  • 診断方法犬の進行性脊髄軟化症の診断方法

    DMに対する特異的な診断法は確立されていません。 DMを確定するには、顕微鏡による脊髄組織の病理組織学的検査による検死しかありません。

    しかし臨床的には、犬種と特徴的な臨床症状(疼痛を伴わない慢性進行性の両後肢不全麻痺)を考慮し、血液検査や脳脊髄液検査で炎症性疾患を否定しつつ、MRI・CT・脊髄造影検査などの精密な画像検査で、圧迫性脊髄疾患を排除しながら、消去法的に診断していきます。

  • 治療法犬の進行性脊髄軟化症の治療法

    変性性神経疾患において、活性酸素を除去することは病態生理学上良いことから、抗酸化作用のあるビタミン類(ビタミンC、ビタミンE、ビタミンA、ビタミンB)は、理論的には効果があるかもしれません。

    しかし、現在唯一その効果が示されているのは理学療法で、積極的に運動(散歩)させることが勧められます。

    ただし、椎間板ヘルニアを併発している場合は、運動させることにより症状が悪化する場合があります。 また、神経疾患で多用されるステロイドは、変性性脊髄症に対しては効果がないとされています。