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6-3 線維軟骨塞栓症(FCE:Fibrocartilaginous Emboli 通称:脊髄梗塞)虚血性脊髄症 線維軟骨性脊髄梗塞症 繊維軟骨性塞栓性脊髄症 線維軟骨性塞栓脊髄症

中枢神経である脳と脊髄は、酸素とグルコース(ブドウ糖:唯一のエネルギー源)の欠乏に非常に弱く、これらを供給する血液が、血管の閉塞や破裂などにより遮られると、細胞がすぐに壊死し始める性質があります。

犬 線維軟骨塞栓症 FCE

線維軟骨塞栓症とは、線維軟骨が脊髄の血管内で、塞栓する(詰まる)ことによって引き起こされる急性の脊髄虚血性壊死の病気で、脊髄梗塞とも言います。

  • 原 因犬の線維軟骨塞栓症の原因

    塞栓子である繊維軟骨の正体は、椎間板の髄核または椎体の骨髄であると考えられていますが、これらの物質が何故およびどのようにして脊髄血管内へ侵入するかの原因や機序(メカニズム)は不明です。

  • 症 状犬の線維軟骨塞栓症の症状

  • 活発な犬が激しい運動中に、あるいは全くきっかけなく突然発症し(ハンセン1型椎間板ヘルニアと同じ)、急に脱力して立ち上がることができなくなります。

  • 左右片側の症状が反対側に比べ強く現れる片側性の不全麻痺(椎間板ヘルニアは対麻痺)を示すのが特徴です。 ただし、急性期や病巣が大きい場合は、症状が両側性に出る(対麻痺)こともあります。

  • 胸腰部に発症した場合は、後肢が不全麻痺を起こし、排尿障害が生じることもあります。 頸部に発症した場合は、四肢不全麻痺を起こします(椎間板ヘルニアと同じ)。

  • 発症直後に数時間疼痛(痛み)を訴える場合もありますが、多くの場合(70%)は無痛性(椎間板ヘルニアは疼痛性)です。

  • 病巣が大きいと、炎症により、髄内性脊髄の腫脹(腫れ)が見られ、発熱(平熱より1℃程度高い:椎間板ヘルニアでは起こらない)を生じる場合があります。

  • 頸部に発症した場合、急性期の炎症が激しい(脊髄炎)と、呼吸を司る延髄に影響を与えるため、苦しそうな息遣い(呼吸困難)になります。 この場合、死に至るケースもあります。

  • 発症から12~36時間が過ぎると、症状の悪化は見られず(非進行性)、2~4週間かけて徐々に自然回復し、歩行可能となります。

  • 1ヶ月以上続いた症状は、後遺症として生涯を通じて見られるとされるが、その後も粘り強くリハビリを行えば多少の回復が見られます。

  • 好発犬種犬の線維軟骨塞栓症の好発犬種

    特に脊髄梗塞になりやすい犬種は、ミニチュア・シュナウザー、シェットランド・シープドッグ、アイリッシュ・ウルフハウンド、ジャーマン・シェパードと言われています。

    その他に、チワワ、パピヨン、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、柴犬、コッカ-・スパニエルなどの小型犬や、グレート・デン、ラブラドール・レトリバーなどの大型犬にも少数ですが症例が見られます。

  • 検査法(診断)犬の線維軟骨塞栓症の検査方法 診断方法

    急性発症でありながら非進行性で、無痛性の四肢麻痺の症状が認められた場合、脊髄梗塞が強く疑われます。 触診による神経学的検査に基づいて、MRI検査(脊髄内の病変が確認できる)と脳脊髄液検査(炎症細胞の有無)を行い、他の脊髄疾患(椎間板椎体炎、脊髄軟化症、脊髄空洞症など)と鑑別します。

  • 治療法・リハビリ方法犬の線維軟骨塞栓症の治療法・リハビリ方法

    急性期(発症後36時間以内)のみ、損傷した脊髄神経の壊死を食い止める目的で、琥珀酸メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法が有効ですが、急性期以降は特別な治療の必要はありません。 また、必要があれば抗生物質も投与します。

    急性期を脱して以降は、1~4ヶ月間自宅でマッサージ(指先から四肢の付け根まで)やストレッチ(四肢の屈伸運動:患肢1肢につき、1回200回、1日3セット以上)などのリハビリテーション(理学療法)により、四肢の運動機能回復に努めることがとても重要です。 また、浴槽やプールでの水泳や温浴も効果的です。

脊髄障害におけるリハビリの意義

神経には「可塑性」という特徴があります。 これは、たとえば10本の神経線維の束の内、6本が切れたとした場合、残りの4本が機能を増大させるか、あるいは同様の機能を司る神経細胞がバイパス(迂回)的に再生して、元の機能を回復させようとする現象を指しますが、リハビリテーションを行うことで、この「神経細胞の可塑性」が促進されます。

また、神経の麻痺状態が長く続くと、その間、筋肉も動かないため、使われない筋肉は徐々に萎縮し、完全に筋萎縮してしまうと回復不可能になります。 リハビリは、これを防ぐ意味でも非常に大きな役割を果たします。

脊髄梗塞=脳梗塞の脊髄版

脳梗塞は、血液中に血栓が出来ることによって脳血管を詰まらせ、詰まった血管の先の脳細胞に血液が行かなくなり、脳細胞が壊死する病気です。 人間の脳梗塞の場合、抗血栓薬・抗浮腫薬・高浸透圧利尿薬などの投与や手術で詰まった血管を治療したりします。

しかし、犬の脊椎梗塞では、そのような治療は施しません。 なぜなら、犬の場合、4~8週間かけて新しい血管がバイパス的に再生するので、時間の経過とともに自然に回復していくためです。

  • 予 後犬の線維軟骨塞栓症の予後

    ほとんどの犬は、24~36時間以内に症状が安定し(非進行性)、2~3週間以内に順調な回復を見せ、よろめきながらも歩行が可能になり、1~4ヶ月でほぼ完全回復します。 この時、患肢の指の感覚が残っていると、予後は良いとされています。 しかしながら、回復期に順調な経過が見られなければ、その後の充分な機能回復は難しいでしょうが、諦めずリハビリを継続すれば、痛みのない生活が送れる程度の活動性を取り戻す可能性は残されています。

    脊髄梗塞の大半は、非進行性ですが、麻痺が下半身から頭に向かって進行する兆候があれば、非常に深刻です。 不幸にして塞栓症が多発していたり、脊髄の上部(延髄)に起こった場合、呼吸困難で死亡するケースもあります。